クローズアップ現代で取り上げた年金問題。
近年、年金制度に対する不安が高まっています。
特に女性にとって、老後の生活を支える年金が十分でないという現実は深刻です。
国が発表した最新のデータによると、女性の年金は男性よりも月約4~5万円も低いことが明らかになりました。
この記事では、クローズアップ現代で取り上げた女性の年金の現状と、老後リスクにどう備えるべきかを考えていきます。
目次
年金の現状と女性の老後リスク
年金制度の基本
日本の公的年金制度は、主に国民年金と厚生年金の2階建て構造になっています。
国民年金は全ての国民が加入する基本的な年金制度で、厚生年金は主に会社員や公務員が加入する制度です。
厚生年金は、収入や加入期間によって受け取る年金額が変わるため、収入が低く、加入期間が短いほど受け取る年金が低くなります。
最新の年金見通し
国は5年ごとに年金受給の見通しを発表していますが、今年7月には初めて個人単位での性別や世代ごとの見通しが示されました。
50歳になる人が65歳になった時に受け取る年金額は、男性が平均14万1000円、女性が9万8000円です。
65歳以上で一人暮らしの人の生活費が平均約14万5000円であることを考えると、どちらも生活費には届いていないことがわかります。
例えば、40代後半の佐々木瞳さん(仮名)は、現在の年金見込み額が月11万円ほどで、生活費には足りません。
彼女は25年以上厚生年金に加入してきましたが、基本給が14万円台で昇給もわずか。
職場では男性が昇格する中、女性にはその機会がほとんどなかったといいます。
このように、女性は年収が低く、年金額も低くなる傾向があります。
非正規雇用と年金の関係
非正規雇用の現状
年金への不安の声が多く寄せられていますが、特に非正規雇用で働いてきた女性たちの意見が目立ちます。
神奈川県に住む茂木直子さん(51歳)は、約20年にわたり非正規の仕事を転々としてきました。
彼女の65歳で受け取れる年金の見込み額は月10万円あまりです。
非正規雇用が長い女性は、厚生年金の加入期間が途切れることが多く、結果的に年金額が低くなる傾向があります。
離婚と老後リスク
また、離婚によって老後のリスクが高まる女性も少なくありません。
ファイナンシャル・プランナーの加藤葉子さんは、結婚や出産をきっかけに仕事を辞める女性が多く、これが年金額を低くする要因になっていると指摘しています。
特に、シングルマザーは教育費の負担が重く、自分の老後に備える余裕がないという現実があります。
具体的なケーススタディ
例えば、50代のシングルマザーである田中美香さん(仮名)は、離婚後に子どもを育てながらパートタイムで働いています。
彼女の年金見込み額は月8万円で、生活費が月15万円かかるため、毎月7万円の赤字が出ています。
彼女は、子どもの教育費や生活費を優先せざるを得ず、自分の老後に備える余裕がないと語ります。
このようなケースは珍しくなく、多くの女性が同様の状況に置かれています。
年金だけでは不安な現実
年金不足の試算
年金だけで生活することが難しいという現実は、多くの女性にとって深刻な問題です。
老後を年金だけで暮らす場合、80歳で1600万円、90歳で2800万円不足するという試算もあります。
これに対して、女性は70歳までは働かなければならないと覚悟している人が多いのが現状です。
社会的な影響
坊美生子さんは、夫婦であれば女性が低年金でも夫の年金があるため、暮らすことができたが、近年は生涯未婚や離婚が増えているため、女性個人の年金が低いことが非常にリスクが高いと述べています。
男女の賃金格差や性別役割分業も大きな問題です。
育児を終えた中高年の女性が再就職する際、非正規雇用になることが多く、年金の加入期間が短くなる傾向があります。
年金を増やすための具体策
厚生年金への加入
年金を増やすためには、厚生年金に加入し、長く働くことが重要です。
現在、70歳まで企業が努力義務になっているため、長く働ける環境を選ぶことが大切です。
また、年金の受給を繰り下げることで、受け取る年金額を増やすことも可能です。
65歳から受け取る年金を75歳まで遅らせると、1か月繰り下げるごとに0.5%ずつ増えます。
自立支援相談機関の活用
さらに、各自治体の自立支援相談機関に相談することで、生活に困った時のサポートを受けることができます。
医療・介護保険料の減免を受けることも可能です。
年金の仕組みを教育現場でも伝えることが重要であり、女性の低年金問題に対する理解を深める必要があります。
具体的な行動計画
年金シミュレーション
公的年金シミュレーターを利用して、自分の年金見込み額を把握しましょう。
キャリアアップ
現在の職場での昇進や転職を考え、収入を増やす努力をしましょう。
資産運用
貯蓄や投資を通じて、年金以外の収入源を確保することも重要です。
教育の受け直し
スキルアップや資格取得を目指し、再就職や転職の際に有利になるようにしましょう。
企業の役割と今後の展望
企業の責任
女性の厚生年金を底上げするためには、企業の役割が重要です。
男女の賃金格差を縮小し、家事・育児・介護などの事情がある人も働きやすい環境を整えることが求められます。
企業が従業員の待遇改善に努めることで、女性の年金額を増やすことができるでしょう。
政府の取り組み
厚生労働省は、女性の低年金問題を受けて、厚生年金の適用拡大を進め、男女問わず年金の給付水準の確保に取り組むとコメントしています。
今後、全ての人の老後を年金だけで支えるのは難しいため、個人は新しい仕事にチャレンジし、企業は多様な人材が活躍できる環境を整えることが必要です。
まとめ
クローズアップ現代で取り上げた女性の年金問題は深刻であり、老後の生活を守るためには早めの対策が必要です。
年金だけでは不安な現実を踏まえ、今からできる備えを考え、行動に移すことが重要です。
自分自身の将来を見据え、経済的自立を目指していきましょう。
特に、女性が自らのキャリアを築き、年金制度を理解し、賢く活用することが、老後の安心につながります。