ある日の夜、町の小さな古びた家に住む一人の老婆が、孫たちに怪談を語ってやろうと言い出した。
孫たちは興味津々で集まり、ドキドキしながら老婆の話を聞き始めた。
「昔々、この町には森の奥に古い廃屋があったそうじゃ。その廃屋には、かつて幸せに暮らしていた一家が住んでいたが、ある日突然、姿を消してしまったそうじゃ」
孫たちの目が輝き、老婆は物語を続けた。
「ある人々によれば、その家には不思議なことが起こると言われていたそうじゃ。夜になると、誰かが幽霊のような姿で住んでいた家を訪れるとの噂が広まってのう。誰もがその話を信じはしなかっのじゃが、それでもなお、その廃屋に近づくことを恐れる者は多かったそうじゃ」
「ある晩、その廃屋に住んでいた一家の少女がおった。この少女は一人ぼっちで、家の中で夜を過ごしておったのじゃ。すると、突然、廃屋の壁からひそひそと音がし始めたそうじゃ」
「最初はただの風の音だろうと思っておった少女じゃったが、徐々にその音が不気味な音に変わっていったそうじゃ。心配になった少女が窓から外をのぞくと、家の周りには何もないのに、なぜか森の奥から幽霊のような白い影が現れおったそうじゃ」
「少女は恐怖に震えながらも、その幽霊のような影に話しかけたのじゃ。すると、影はゆっくりと近づいてきおった」
孫たちは聞き入っている。
そして、老婆は興奮した様子で語り続けた。
近づく影の正体
「影が近づくにつれて、少女は幽霊のような姿ではなく、一人の少年の姿だと気づいたそうじゃ。その少年はとても優しそうな笑顔で、少女に手を差し伸した。彼の名前は明星と言い、彼もまたこの家に幽霊が出るのを不思議に思っていたのだそうじゃ」
「明星は、自分が幽霊ではなく、ただ単にこの家を訪れる謎の力を持っているだけだと話した。明星は少女に、自分が家族とともにこの森に住んでいたが、何者かによって家族と共に追放されてしまったと語ったそうじゃ」
「少女は明星に同情し、一緒に暮らさないかと提案した。そして以来、明星と少女は一緒にこの廃屋で暮らし始めたそうじゃ」
老婆が話を終えると、孫たちはぞっとするような気持ちと同時に、心温まる物語に感動していた。
それ以降、孫たちは毎週のようにこの怪談話を聞きに老婆の家に集まり、怖くもあり、不思議でロマンチックな物語を楽しんでいた。